宇宙電磁力学の後半まとめ

2014年07月01日 18:32

講義「宇宙電磁力学」後半も基本的に完了ということで一旦まとめます。教科書はParkerの「Conversations on Electric and Magnetic Fields in the Cosmos」と、Alfvenの「Cosmical Electrodynamics」です。参考文献として配付してきた論文はこちら。(https://polaris.nipr.ac.jp/~ryuho/coem/)。

 

第7回は2014年6月10日(火)、衝撃波加速されると、べきが圧縮比だけの関数になるということで、Rankine-Hugoniot関係から、衝撃波の圧縮比がマッハ数の関数としてどうなるか。磁場が入るとどうなるか。もっとParkerに聞き耳を立てていこうということで、太陽風のParker理論を導出しました。Parkerスパイラルも同じ論文。もう一点マスロスについては省略。参考文献はParker1958ApJ。

 

第8回は2014年6月17日(火)、リコネクションはなぜ重要だと思う?プラズモイドが飛んだりシステムが変わる。磁場のエネルギーが解放されて軸磁場方向のパラレル電場もできる。磁気レイノルズ数Rmの復習、Rmはデカい(Parker教科書ではアルベーンスピードVaを代入してルンキスト数と呼ぶ、10章を読んでいく)。プラズマは、圧力バランスした接線不連続TDの膜を作りやすい。磁力線を流入スピードUでTDに集中させすぎて膜を破るような極端なケースを考える。コタエから言うとUがVaのルートRm分の1になるのがSweet-Parkerで、VaのログRm分の1になるのがPetschek。プラズマの掃き出しスピードは変わらずVaだけど、磁場の消し方がPetschekだと2桁くらいは速くなってフレアやサブストームの時定数と整合的。参考文献はParker1957JGRとPetschek1964NASSP。

 

第9回は2014年6月24日(火)、カミナリがビカビカしてるので、放電の集中化の傾向についてなぞかけ。授業の準備不足でピンチということで、プラズマが自分の作る磁場で締め付けるピンチ効果とBennettの関係式を導いてみる。これは宇宙のフィラメント状構造の本質なのか?Isobe2005Natureのシミュレーション結果を見てみると、Parker不安定→Rayleigh-Taylor不安定→Kelvin-Helmholtz不安定と不安定が不安定を呼ぶコンビネーションが浮上磁場の細かい磁気ループ構造を作っているように見える。しかし不安定が3つも連鎖して、最後は間欠的リコネクションだし、かなり楽しい!とテンションが上がったところで、磁気テンションを磁束管の浮力を超えるParker不安定では、スケールハイトの何倍くらいの波長から不安定かを求めたところで時間切れ。参考文献はParker1966ApJ。

 

第10回は2014年7月1日(火)、まずは先週やり残したオーロラの縞模様について。Chaston&Seki2010JGR、Wagner1983JGR, Wagner1981GMを読んで、オーロラのカーテン模様に現れるプラズマの集中化も、基本的にはK-H不安定模様(Alfvenicな場合はすぐにtearing不安定が発動)であることを確認。これらの論文は、例えばcurlを見たらダブルレイヤー、ruffを見たらAlfvenicを連想する理論的な根拠となるだろう。最後の参考文献はAkasofu2011AnGeo。Alfven Medal Lectureのまとめで、Parkerも登場するため、宇宙電磁力学を締めくくるにふさわしい論文でした。レポート課題は、これまで3か月取り組んだParkerとAlfvenの教科書を復習し、自分なりに短くまとめること。