宇宙電磁力学の前半まとめ

2014年06月04日 20:33

4月から取り組んできた講義「宇宙電磁力学」が折り返し地点ということで、何をやってみたか、ここまでの流れを一旦まとめます。パワポなど準備も用意もしておらず「解はたちどころにみつかり~」と白板に向かってフリーズするスリル。教科書はParkerの「Conversations on Electric and Magnetic Fields in the Cosmos」と、Alfvenの「Cosmical Electrodynamics」です。参考文献として配付してきた論文はこちら。(https://polaris.nipr.ac.jp/~ryuho/coem/)。

 

第1回は2014年4月15日(火)、理想磁気流体方程式、質量保存則からの太陽風のradial expansion、運動量保存則からの大気のscale height、MaxwellとNewton、Galilei変換、圧力パランスで考える大気・磁気圏・太陽圏のサイズ、というイントロをやりました。AlfvenとParkerの教科書のテーマを、それぞれjEパラダイムとvBパラダイムとして戦わせ、自分なりの答えを得ることを講義の目標と設定しました。初日の参考資料はAlfven1942Nature。

 

第2回は2014年4月22日(火)、frozen-in、磁場の誘導方程式、そもそもプラズマとは?からの、Debye長が小さい、プラズマ振動数が速い、Sahaの電離公式、Ohmの式でE/Bが小さい、磁気レイノルズ数が大きい、ことなどをParker教科書を中心に楽しみました。JpGUとGWで2週間もインターバルがあるということで、ここまでの復習と、Parker教科書9.5章を読んで弱電離プラズマのOhmの式を導いてレポート提出してもらい、一旦ここでParker教科書の流れに沿った保存則としての美しい磁気流体方程式を離れます。学生が見つけてきたウェブサイト3つをここにメモ。1.https://www.astr.tohoku.ac.jp/~nakasho/WebPage/note/note.html、2.https://www2.yamanashi-ken.ac.jp/~itoyo/lecture/plasma/Default.htm、3.https://www.quant-ph.cst.nihon-u.ac.jp/~takasugi/plasma/note/

 

第3回は2014年5月13日(火)、Alfven教科書に沿って、単一荷電粒子(より具体的には宇宙線)の基本的な動きとかスピード感を考えておこうということで、静止エネルギー、運動エネルギー(相対論)、Larmor半径とジャイロ運動、第1断熱不変量、guiding center、ドリフト運動、ミラー運動。あまり関係ないけど今後のためのメモ「プラズマということばは、気体放電における陽光柱の中の状態を指すものとしてラングミュアによって導入された。」

 

第4回は2014年5月20日(火)、Alfven教科書に沿って、Van Allen帯を理解するための基礎になる、相対論的荷電粒子の「双極子磁場」中での基本的な動きを知っておこう、ということで、Stormer軌道とドリフト軌道。残念ながらMcIlwainのL値は省略することに。まだ関係ないけど今後のためのメモ「放電は、多くの場合、電場の強さが最小になるように自分で適合する。」

 

第5回は2014年5月27日(火)、Alfven教科書に沿って、2次Fermi加速(第2断熱不変量)、磁気ポンプ(第1断熱不変量)。脱線して、磁気ミラーによるロスと磁場収束のつり合いの検算と、斎藤先生とAlfvenのバレリーナスカートについて紹介しました。参考文献はFermi1949PhysRev。

 

第6回は2014年6月3日(火)、Alfvenから離れて再びParkerへ。「双極子磁場」は面白かったが、「衝撃波」では相対論的荷電粒子はどうなるか。宇宙線のParker方程式からの衝撃波Fermi加速(Diffusive Shock Acceleration)、脱線して太陽風のParkerスパイラルと衝撃波加速の最高到達エネルギーについて。参考文献はParker1965PSSと、Blandford&Ostriker1978ApJ。

 

(後半へつづく)