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スウェーデン王立工科大学の滞在記録

2014年03月04日 16:11

ストックホルムに入りました。手短に記録します。

 

3月3日(月)、雪。午前中はUNISでコーヒー飲みながら若いポスドクのダニエルとステファンと談話。ケルビンヘルムホルツ専門家のトーマスには会えず。フレッドに送ってもらって午後2時過ぎにロングイヤービエン空港を出発。まだ体調が万全ではない。トロムソで一回降りて、オスロで乗り換えて、ストックホルムの空港について、バスに乗って、タクシーに乗って、やっとストックホルムのホテル(Mornington)に到着したのが夜の11時ごろ。

 

3月4日(火)、曇り。朝8時半、歩いて大学へ。公園を通り過ぎてキャンパスに入り、難なくアルベンラボ31に到着。コーヒーまでゲットする余裕っぷり。待ち合わせの9時半にニコライが走って登場。ものすごい過密スケジュールの合間に相手をしてくれるということで、まずは手短にラボ見学へ出動。インペリアルは磁場のラボだったが、ここは電場のラボである。どうやら今週の課題ということで、必死に爆音スピーカーを作っている大学生がたくさんいる。そんな大学生たちを横目に、ひととおりぐるっとアルベンラボを説明してもらうと、あちこちに無造作に散らばっている小物が、実はロケット観測や人工衛星観測で重要なアイテムだったのか、、とわかってきた。学生たちが食堂を占領する前にスタッフ5人で駆け足でランチへ。ニシンのフライとベリーのジャムとマッシュポテト。食後に構内の名所をニコライが案内してくれた。レンガの国だ。アルベンラボに戻って少人数セミナー(http://www.kth.se/ees/kalender/ground-based-high-speed-imaging-and-stereo-imaging-of-aurora-1.458872)。大人5人(うち偉い人が2人)と学生1人を相手に1時間、濃密なセミナーになりました。それから数時間でニコライと必要な議論を詰め終えた。外が暗くなったところでストックホルムの中心街まで歩いて移動。星も月も見えて冷えて寒かった。特別なディナーで初日からロケットスタートで満たされました。明日は午後に集合するように言われて、ホテルまで教授の車で送ってもらいました。

図1:アルベンが、ここで研究していた。そしてノーベル賞。

 

3月5日(水)、曇り。ちなみにAlfvenは正式にはアルビあンと言うらしい。fは単に飾りなので無視らしい。そして「あ」にアクセントらしい。あとStasiewictzはスタシエヴィッチ。はい・・というわけでLundin氏によるプラズマ工学のセミナーを聞いた(HiPIMSという分野。マイクロ秒単位で進行するディスチャージ自体が興味深い。ちなみに私のセミナーの証拠を発見)。うっかり建物の外に出て中に入れない可愛そうな子になってドアの向こう側に茫然と立ち尽くしていた私をアニータが救助。それから若いポスドク2人、ルーバ(つづりはLove)とビンによる、オーロラ加速域と電場に関するクラスターの新しい解析結果を全部教えてもらって吸収した。ドンピシャのポスドクだという二コラはキルナに出張中らしい。それにしても40V程度とはいえ、高度2-3万キロまで加速域が伸びていて、さらに一桁オチの0.1/ccキャビティがそこに生成しているという事実は、単純に知らなかった。大変興味深い。明日の午後は教授3人と議論する予定。

 

3月6日(木)、晴れ。また可哀相な子状態になっていた私をたまたま発見したアニータが部屋のカギを開けてくれた。慰められた。アールト大学のキューブサットのセミナーを聞いた。基本的にフィンランドの話だったが、学生プロジェクトのレベルが高くて驚いた。とはいえ5年くらいの蓄積があったらしい。宇宙飛行士が普通にセミナーにいる。すぐにヨラムを捕まえてオーロラ加速域の議論、アニータとtranspolar arcと偽サブストームの議論、とはしごして夢中に楽しんでいるうちに気づけば時間切れ。廊下を歩いていた学生のヨアキムと夕食へ。東北大に留学していたということで、ラーメンが好きということで、そして友人にもらったという漢字の名前が夜悪鬼無。これにてKTH滞在は終了。あっという間だった。また皆に会いたい。(次週、ヘルシンキ編に続く)

 

ノルウェー滞在記録

2014年02月24日 08:08

ノルウェーに入りました。できるだけ、記録します。

 

2月23日(日)、曇り。移動日。朝からタクシーを呼び、高速バスでヒースロー空港へ。ロンドンからの飛行機は遅れ、オスロでの乗り継ぎが1時間を切っていて、ドタバタとよくわからないままトロムソに到着。雪はあるがサウサンプトンよりも暖かい?まだ日本人はみかけていない。空は厚い雲で覆われていてオーロラは見えない。

 

2月24日(月)、曇り。雨の予想。最高気温8度。これではロンドンと変わらない。Thon Hotel Polarで朝7時に飛び起きて、いろいろ食べてみる。朝9時、ビヨルンが迎えに来てくれた。10分くらい丘を上ってオーロラ観測所へ到着。オフィスに案内してもらうと、まず目に止まるのが電動で上下に動く巨大な机!既に私のあごくらいの高さまで上がっている。この机は眠くなったら立って仕事できそうで、かなり気になる。正直言ってこれはぜひ私のオフィスにも一つ欲しいが、いかにも日本では売ってないシロモノで、これ以上は目の毒なので見ないようにする。とにかくフリッカリングの物理から、立体視測定の精度の上げかた、ハウルのデータフォーマット改良まで、午後1時になると大体の議論が終了。ランチにラザニアおごってもらった。午後ぶらぶらっと研究所の同僚に紹介してもらい、ついでにプラズマラボを見せてもらう。Stormer(すトぇるまる)、Birkeland(びるけラんと)の言い方を習う。アクセントはカタカナのところ。午後4時、そろそろ電離圏を加熱しに行くべ、人工オーロラ見たことあるかい、とか話しながら大雨の中EISCATサイトへ。途中スーパーに寄る。ピザが1500円くらいであることをチェック。これなら店で5000円でも不思議ではない。EISCATの看板を左折すると、巨大アンテナが見えてきた。宇宙へ波動砲発射まで30分前、ということで戦闘モードに入るビヨルンとマイク。とりあえず私は邪魔しないように隅っこで小さくなって気配を消し、別な宇宙天気の仕事に集中。2年前くらいまではマイクがオルガン奏者のように右手と左手と足で宇宙を加熱していたとか。ときおり御免よとデータをチラ見する限り、電子はきれいに加熱されているようだ。イオンの反応は微妙。天気が悪くて人工オーロラが見えないのは本当に残念。それにしてもアラスカのロケットといい、ノルウェーの人工オーロラといい、面白いほどチャンスを逃しまくっている2014年。日が暮れて1時間ほどでF層の電離度が再結合で下がってきて送信周波数がこれ以上下げられず加熱を続けられない、と困っていたら18時ごろからE層が出現。暇つぶしに、ビヨルンの関連論文を引き合いに出しては質問攻め。E層も弱ってきて撤収。パスタが美味しかったダウンタウンのレストランの美人。明日は10時からセミナー。みんな来るからとハードルが上がりすぎているところで寝ます。

図1:マイクとビヨルン、宇宙を加熱する30分前。

 

2月25日(火)、曇り。朝3時にX4.9フレアの発生に気づいてしまって眠れない。ビヨルンが朝9時に迎えに来てくれた。DAWとEMICとcavityの話をしてハイテンションのまま朝10時のセミナーへ突入。1時間の議論。おびただしい数の質問をくぐりぬけて、マイクとビヨルンとは新しい共同研究の作戦(加熱域の高速撮像)も出来て、終わってみればすっきり。マグナルの部屋に移動し、100年前のストルマルの観測機の現物や論文や本、データを大量に見せてもらった。オーロラの高度測定はじまりの場所でオーロラ立体視のセミナーをやってたことをモノで実感する。またビヨルンにランチをおごってもらう。ディナーまでおごってもらう。割り勘にする隙を与えないビヨルン。もう日本に呼び出してごちそうするしかない。午後は話を詰められるだけ詰めて、面白い論文ネタ(5577高速撮像)も発掘できたし、今後の共同研究が本当に楽しみです。

図2:オーロラ立体視セミナー直後にマグナルが見せてくれた100年前のカメラ。なんとストルマルがオーロラ三角測量に使っていたもの。

 

2月26日(水)、曇り。朝6時半に朝食。荷造りをしてタクシーを呼んで、トロムソ空港へ。最北の地スバールバルに向かう。飛行機の中、そういえばトロムソには最北のブルワリーがあったのでは!と思い出したり。午後2時半ごろ、ロングヤービン空港に到着。しっかり雪が降っていて、まあまあ寒い。フレッドが迎えに来てくれていた。太陽が出てきたから、もう気分は休みだとか言ってる。発電所を通って5分ほどで大学。UNISと呼ばれている。カギをもらって登録を済ませ、ゲストハウスの部屋にスーツケースを置く。ビールは裏のホテルで飲めるから!とだけ教えて逃げていくフレッド。よくわからないまま歩いて大学に戻ってオロオロと探検していたら、普通に仕事中のフレッドを発見。コーヒーを入れてもらって、ダグも巻き込んで、新しいオーロラ観測などについて簡単な情報交換。明日は朝10時ごろからコーヒー会議で、昼はセミナーで話す予定。明後日は、観測所に連れていってくれるとのこと。のどが痛い。とにかく早めに寝ます。

 

2月27日(木)、雪。朝9時すぎ、UNIS3階にあるNIPRのオフィスへ入場。そういえば、ここの机も電動式で上下するようで、これはノルウェー共通かもしれない!10時のコーヒータイムで、フレッドとダグにいろいろ最新データを見せてあげた。廊下の向こうでは、きのこの研究者が爆音ノリノリでドア解放で研究している。11時半にグループのみなさんとランチ。いきなり45分セミナー(http://www.unis.no/50_INTERNAL/5030_Lunch_Seminar/lunch_seminar_program.htm)。学生からたくさんの質問。セミナーに来て頂いた日本人アーティストの妹尾さんにラストのカッコントウをもらって、その場で飲んで、すぐにフレッドのラボ見学へ突入。液晶フィルタ、積分球、ドローン、そして3Dプリンタ!3Dプリンタで遊びたい誘惑に駆られつつ振り切って、ラボ見学が終了。太陽風データをチラ見すると、衝撃波が見えそうな予感。そういえばオーロラを見てなかったから今晩はチャンス。なんでも寿司屋があるということを教えて頂いて、明るいうちに町まで探検。寒い。本当に寿司屋があった。たぶん島を滞在している日本人全員と遭遇。お寿司屋さん2人と妹尾さんと一緒に暗い海辺へ移動。オーロラオーバルの輪の中から磁気嵐主相のオーロラを初めて見ました。フェアバンクスで見てきたオーロラとは全然違う。南の空の山並みがくっきりして空が明るくなってきたような?と見ていると、異様に背の高い光の柱が次々と何本も宇宙に伸びていきました(ツイッターに写真をアップした)。写真に撮ると真っ赤ですが、目ではうっすら赤く見える感じ。たぶんマイナス10度くらいだけど私は寒くて2時間も我慢できず、あとで誰かが車で迎えに来るという元気ハツラツの3人を海辺に置き去りにして、私だけゲストハウスへ撤退。

図3:フレッドの光学実験室@UNISの3階。

 

2月28日(金)、快晴。今日は万が一EISCATサイトで徹夜になってもいいように備えて、少し遅くUNISに歩いて出勤。なんて美しい場所なんだろう。トナカイがどこにでもいる。既にコーヒータイムでくつろぐDagとFredと話しているうちに、新しくて面白い共同研究の話が煮詰まったところで、ついでにポスドクのMargitにも奇襲。Fredと観測所へ。まずは腹減ったということでタイ料理を食べる。観測所までは10キロくらいの道のり。かなり近い。太陽を久しぶりに見た、とハイテンションのFred。途中で雪上車に乗り換えて道なき道を駆け上がる。EISCATレーダーサイトの裏にグイグイまわり、この研究調査旅行のカギとなっているASKカメラをとうとう見学。R2D2のようにかわいすぎるフォルムとたたずまいに、遂にここまで来たなあという感動。そしてさらに観測所KHOへ雪上車でぐいぐい上る。勢い余って観測所も通り越して、雪上車の限界まで無駄に頂上を目指すFred(その最高到達地点からの眺めが図4)。観測所は2008年に作ったらしく、もう何もかもが完璧なまでに揃っている。シャワーもあって住める。というか私はここに住みたい。お前のハイスピードカメラ持って来い、年間使用料は2万クローネだけど、あとそうですねキャリブレーション費用になりますと、、とテヘペロ的なFred。まじでspecialなスペクトル観測を同時に用意してくれるとのこと。それにしても、もっと儲けてもいいんじゃないかな、と思いました。無数の美しい光学観測機器のセッティングを見ることができました。とんでもないところに来た。(次週、ストックホルム編につづく)

図4:本日最高到達地点からの観測所KHOとEISCATレーダーの眺め

 

サウサンプトン大学の滞在記録

2014年02月18日 15:37

オーロラ研究調査旅行ということでサウサンプトン大学に滞在しています。できるだけ写真も入れながら、できるだけメモを残していきます。

 

2月16日(日)、大雪が一段落。早朝しゃりしゃり雪でブレーキかかりながらスーツケースと共に成田空港に移動。スカンジナビア航空は初めて。というか今回の訪問先はことごとく初めて。コペンハーゲンで乗り換えて、ロンドンに到着。高速バスで2時間かけてサウサンプトンへ。それからタクシーでホテル(大学の近くにあるハイフィールド・ハウス・ホテル)に着いたのがUT夜の11時ごろ。24時間を超える長い長い移動の一日だった。(ツイッターにメモが残っている。)

 

2月17日(月)、しとしと雨。朝9時15分にハンナが歩いてホテルまで迎えに来てくれた。洪水大変でしたね、日本も雪が異常とか話しながら大学へ。街並みがレンガ。大学構内も上ったり下りたり川が流れ、地形がすばらしい。嵐で折れたらしき木が取り囲まれて工事中。職員用と学生用のパブがあるらしい。フルーツとか市場まで開いている。研究室の大きな丸テーブルで月曜朝にいつもミーティングしてるということでコーヒーを入れてもらってスタッフ・学生と初顔合わせ。ベティ―、カトリーナ、ロバート、ハンナ、サム、オリ、と呼んでいて、この順に偉い。私はフリッカリングの専門家と知られていて、今回オーロラについて学びに、そして共同研究推進のために来たと説明。みなさん英語が超速で、気を抜くと何を言っているかすぐわからなくなる。しかしまあ優しい。とてもリラックスさせて頂きました。ダンやニコライ、フレッド、今回の旅で会うことになるみんなは、サウサンプトン大学とつながっているとのこと。まずはハンナにアラスカ観測や面白いデータの近況報告など。そういえばルックルックペーパーが蔓延してるとのこと。それにしても、いま極地研が北欧でどういう最新データをどうアーカイブしているかを私がきちんと説明できないのは痛い。これ重要な宿題。スタッフ4人でランチへ。マッシュトポテトと、ナス焼トマトソースうまい。若い学生であふれかえる食堂。午後イチでサムがオーロラ動物園計画のセミナー。セミナー後は、ASKのアーカイブ状況と、ハンナの最新オーロラ研究の話をたっぷり教えてもらい、サイエンスの議論に突入。ものすごく面白いのに時差ボケで頭が疲れすぎて辛い。高速撮像データのアーカイブ手法と解析手法を共有したい、電離モデルを覚えたい、フリッカリングの理解がどこまで進んだか確認したい、などなど希望だけ積み残したまま魂が抜けた。いいから、とにかく教会で曲がるのよ!というハンナの一言アドバイスのもと、ちゃんと迷子にならずに午後5時ごろにホテルへ戻った。けっこう歩いた。アラスカでダメージを受けた右ひざに爆弾の予感。雨の中傘をさして、いい感じのパブを探して一人夜の町を歩いてみた。一番荒々しいパブに入ってしまった。辛すぎるチリを 耐え、ギネスを飲んで退散。ホテルに戻り5秒で気絶。たぶん疲れがたまりすぎている。

 

2月18日(火)、雨の音。時差ボケで朝4時起き。どうしても寝られないのでメールを書いたり、このメモを書いたり。9-ishに出勤したところ研究室には誰もいない。一瞬だけ朝日が射して気持ちいい。久しぶりにまったりと研究に着手。気分は最高。そうしてアラスカで撮ってきたデータを見ていたら細長い変なオーロラを発見したので、どれほど細いかという分析を済ませる。ベティ―が来たのでコーヒーもらいつつ質問攻め。逃げられた。量子力学教えてくる!と叫んでサムがプリントをつかんで走って行った。戻ってきた。大雨で向かったランチはチキンカレー。パッサパサでまずい。午後はサムと研究の話をしてふと外を見ると大きな虹。高速カメラの運用体制と限界、大気電離と大気化学のモデル、なにかと収穫がありすぎる。よた話をやって、大学の生協で土産を物色してみる。キャッシュを引き出そうとATMでもたもたして振り返ると学生の行列。午後6時にホテルに戻ってディナーへ。まだ眠くないし体も頭も軽い。

 

2月19日(水)、晴れ。時差ボケで朝4時起き。なんと磁気嵐が発生しているではないか!と慌ててカメラ設定を変えた結果、800fpsの連続オーロラ観測に初めて成功。4278で15kRという、ごく明るいオーロラでぎりぎり行けた。時差ボケ万歳とはいえ午後4時にセミナー、夜はディナーが待っている。学生の流れに合わせて9時出勤。みんなアメリカ語じゃなくて英語をしゃべってるんだなあ、とかぼやぼやしながらオフィスに着いたのが朝の9時ごろ。午前中はハンナと次の共同観測計画について細かいことを詰め終えた。コーヒー行くぞ、と呼びかけで、コーヒーにみんなが集まる会?に参加。ハイティーってのはこれこれこうで、サパーってのはこれこれこう、とロバート。部屋に戻ってロバートのtranspolar arc研究について議論。今後は極冠の物理がますます面白いよね。セミナー係ドイツ人の静かな銀河磁場屋さんがクラウンという近くのパブにランチに連れていってくれた。オフィスに戻り、たくさん細かい質問をやりとり。午後4時、急こう配の階段教室に移動して高速撮像と立体撮像について天文学者向けに45分セミナー(http://www.astro.soton.ac.uk/~seminars/)。ジェットラグ吹き飛ぶ質問の嵐で私もスイッチ入りました。オフィスに戻って専門的なほうの議論をまったり。午後6時すぎに城壁に囲まれたダウンタウンに移動。しとしと雨、カトリーナがとにかくおしゃれなことに気づいてしまった。さてさてイギリスに来たらインド料理!ということでベティ―に素敵なディナーに招待して頂きました。とても美味しい。明日はインペリアルカレッジまで行ってきなさいな、ということで10時ごろホテルに戻り力尽きた。

図1:城壁のパーキングにコインを入れるハンナとサム

 

2月20日(木)、曇り。朝4時ごろに目が覚め、再び別の磁気嵐が始まりつつあることに気づき、アラスカのカメラを設定し終わったのが朝5時過ぎ。磁気嵐なのでエコノミーモード負担を倍に設定してみた。NASAポスドク仲間でオフィスメイトだったジョナサンを訪ねてロンドンへ。カトリーナのメモにしたがって完璧に電車とチューブを乗継ぎ、霧のような雨でずぶ濡れになりながらも無事にインペリアルカレッジに到着。みなさん傘をささない理由がなんとなくわかってきたような。サウスケンジントンの駅を出ると博物館がずらり。冬休みの子供たちが行列。その先に見えてくるインペリアルカレッジは想像と違ってガラス張りだったりしてモダン。ハックスリーという建物を探し出し、とうとうジョナサンと何年ぶりかの再会。たぶん6年ぶりくらい。第一印象、お互い物理的にデカくなったと思っているに違いない。ひととおり何がどうなって今こうなってるか、などなど話が尽きない。名所をぐるっと案内してもらいつつパブでランチ。普通に宮殿とかあるし、これは大学の立地がヤバすぎる。ジョナサンのオフィスに戻って最新の磁力計のラボも見せてもらった。午前中は主には理論的な話、午後は主には宇宙天気の話。サウサンプトンに戻ってきたのが夜8時すぎ。思い切って会いに来てよかった。

図2:インペリアルカレッジの外を散歩中のジョナサンと私

 

2月21日(金)、晴れ。起きたのは朝の7時前。時差ボケが治った。9時出勤。早口すぎて何言ってるかわからない背の高い大学生が部屋に入って来て、まるっきり何言ってるかわからない。ほとんど英語とも思われない。しょうがないので適当にあしらって何食わぬ顔で研究作業を続けてるうち、セミナーを聞いていたという学生から連絡が入り、とうとう何言ってるかわからない大学生3人に取り囲まれて、まゆげをハの字にしてしょんぼりしていたところにサムが登場。あとはまかせた。11時ishにカトリーナから「ティー」の号令。ティーに出動。エクセレントなオチを求められても困るので、先手を打って見知らぬ広報関係の美人をつかまえてオーロラ3D作品を見せてメルアドを教えてあげた。メールはまだ来ない。昼はサムとカフェに出かけてチリドッグをゲット。ナポリタン的にうまい。午後はサムにNO研究の面白さについて弁じて、バッタの耳と超音波のセミナーを聞いて、ケーキを2つ食べた。いろいろあったサウサンプトン大学の滞在もこれにて終わり。空港までのバス予約など、ノルウェーへ北上するための準備に入った。(次週、ノルウェー編へつづく)

オーロラ観測カメラ機材インストールまとめ

2014年02月07日 06:57

アラスカ観測から無事に帰国しました!今回の観測メンバーは、片岡、三好、尾崎、宮原、糸屋と、大学院1年生の砂川、橋本。約10日間ぶっ続けで駆けずり回ったカメラ器材インストールのトラブルなどを記録しておきます。カメラ器材はNikon D4+8mmF2.8を2台(通称:ピーアイ2と黒グフ)、Nikon D800E+16mmF2.8を5台(通称:ハウル)、Hamamatsu CMOS+50mmF1.2を2台(通称:シーモス名古屋とシーモス極地研)、です。アトム設計の黒箱(真空断熱材のハウジング)も初めて観測に導入し、見事な性能を発揮してました。面白いデータや科学的発見などは追々公開していきます。

 

1月26日(日)移動日。シアトルでのアメリカ入国は問題なく全員が通過。フェアバンクス到着後、ソフィーステーションのレストランで夕食後、解散。

 

1月27日(月)1日目、朝9時半ロビー集合。IARCで赤祖父先生、斎藤さんに挨拶。GI所長はいなかったが土産は美人秘書に渡した。GIに届いていた黒箱は、ドンに頼んで夜にポーカーに届けてもらった。フレッドマイヤーで食糧の買い出し。ポーカーに到着すると、ジェイソンが登場。warm strageから大きな箱をeast domeに運んでもらう。全力で荷解き作業。ロフトには名古屋CMOS。糸屋さんはハウル組立に集中。ハウルのレッツノートが動作不安定になり起動しなくなったことが翌日までに判明。D4魚眼だけEast Domeにインストール。三好さんと尾崎さんが午後3時過ぎピーターに連れられて夜までwatershedでサーチコイルのインストール作業。チャタニカで午後8時少し前から夕食。ドレッジバーガー。午前2時ごろ下山。とにかく晴れ。東京と同じ格好でも大丈夫な異常気象。

 

 

1月28日(火)2日目、朝10時ロビー集合。熊谷さんに挨拶。30日と31日が立体実験してOKとのこと。午後、レッツノートWin7-USB3のリカバリーに成功。ピーターが午後4時にSOCに来て、尾崎さんと砂川くんがトラックでwatershedへ。バッテリ切れトラブル発生。糸屋さん77.5度の坂を作る、耳がおかしくなるほど爆音の大工作業。三好さん「だ、だ、だいじょうぶ?」帰国する尾崎さんと三好さんとのラストディナーでチャタニカに6時半ごろ向かうも定休日で真っ暗。ポーカーに戻って非常食。夜9時頃からロケット打ち上げの気配が高まり、片岡のスイッチ入って大急ぎでセットアップ。CMOSシステム一式(ヘッドとレンズが極地研)を持ち上げてインストール。作業の熱がこもりすぎて結露事件が発生。ロバートとドンにファンとヒーターを導入して助けてもらう。そんな慌てたインストールで配線はめちゃくちゃ。夜11時に糸屋さんがシングルヒットの胸騒ぎで戻ってきてハウルを持ち上げて、これも仮インストール&若干ピンボケの初オーロラ撮影。野球にたとえるならヒット、という感じのオーロラ。CMOSなど少しデータがとれたはず。橋本さんがオーロラ写真撮影に夢中。気づいたらLEDで星やSTELをペンライトで書き出した。あのライトは、そのために持ってきたものだったのか?そのときソファーで寝ていた砂川くんに、あいつは持ってない説。午前2時ごろ下山。少し寒くなってきたようだ。基本、晴れだった。

 

 

1月29日(水)3日目、朝12時ロビー集合。昼出発でフレッドマイヤーで食糧買い出し。ヘッドランプを人数分購入。ガソリン$50。午後3時のロケットBBQをスキップして日が暮れるまで全力で基本セットアップ作業。カメラ姿勢の固定。ハウルの持ち上げ固定。配線の整理。午後4時に砂川くん、橋本さんがピーターに連れられてwatershedバッテリ交換作業。バッテリ切れの問題解決を確認(したらしい)。オーロラが内野ゴロ。ピント合わせなど。朝3時にホテルに戻る。鼻毛が凍るのでマイナス20度を下回ったようだ。帰り道が霧。三好さんにLED不安に関してメール。

 

1月30日(木)4日目、また晴れ。朝10時半ロビー集合。マックのドライブスルーのいい声。砂川くんがミルクを頼んだらオレンジジュースが来たとか。右折信号で糸屋カーとはぐれる。片岡は糸屋カーを発見したと勘違い、現地人(おじいちゃんの赤いラブ4)をあおってしまう。11時半くらいにロッジで再会し、黒箱ほか荷物を下ろす。ここからロッジ班とポーカー班に分かれる。ピーアイ2を所定の位置に運び込むための雪かきで、かなり筋肉を使う。美しい空のグラデーション。明るいうちにピーアイ2のインストールが終わり、立体観測開始。暗くなってから黒箱CMOSアトムを作り始めて、夜には狭い視野の星が一致するテストに成功。ただしLEDは片目だけ点灯するという不思議な現象。夕食はチャタニカ現地集合でスペシャルチキンステーキライス。マイナス25度。地磁気活動は弱いが、オーロラはきれいだった。新月で、オーロラが消えた後の星空も本当に見事だった。体力の限界で不思議なバッテリ交換の話をして、かなりの混乱。ここで砂川くんの第1章が終わり、2日間の充電期間に入ることに。実際、睡眠時間が削られすぎて観測メンバー全員の消耗が激しかった。

 

1月31日(金)5日目、晴れ。午後1時ロビー集合。バッテリーの心配を一番にしていた砂川くんバッテリー切れで出動できず。マイナス20度。サブウェイの美人。ホームデポに行ったらカーバッテリは売ってない。バッテリの発音が悪すぎて、なかなか伝わらない。ウォルマートに移動し、一番大きいバッテリを立て替え購入117$。ポーカーに到着するとジェイソンがゆきかき車でドリフト爆走しているのを目撃。GPSの修正。GPS作業中、lets2014の立ち上げ中に電源に接触して落ちて初期化されるというトラブル発生。19時前にチャタニカでcodディナーを食べる。その足で片岡と宮原がロッジへ移動。21時から10HzのCMOS立体観測試運転を開始、23時すぎに50HzのCMOS立体観測に修正。曇が空に広がりオーロラは見えず。朝に切れるプログラムになっているとして放置。黒箱の温度は25度。黒箱のガンダム的な愛称とか熊谷さんと会話。朝の2時半にホテルに戻る。ハウルとLEDの相性が悪い問題というところまで絞れた。マイナス20度。

 

2月1日(土)6日目、曇り、マイナス15度。ガソリン$50。今日も微熱で出動停止しておく砂川君にアボカドのサブウェイ4つと、フロントでゲットした風邪薬を与えて出発。糸屋さんはウォルマートでUSB3まわりをシールドするものを探すも見つからず、片岡・宮原はロッジへ行って黒グフKG5とピーアイ2の調整を終えて、2台はポーカーで集合。大容量バッテリは初めからポーカーに2つあって、どうやら今回は買わなくてもよかったらしい。16時にGPS-LED問題を解決した糸屋さんがドヤ顔で階段を降りてきてアルマゲドンの1シーンのようだった。アルミでUSB3ケーブル周りとGPS受信コードをグルグル巻きにして基本的に解決した。あと終わっていない課題は、そういえば初期に気づいたドームの汚れ掃除くらい。16時20分、糸屋さんと橋本さんピーターに連れられてバッテリ交換作業へ。8時ごろにシルバーガルチでディナー。ビアカレーチキンがうまい。全員ロッジのほうに戻って立体観測の続き。3人がボブスレー的に次々と滑って転ぶ。朝2時半にホテル着。CMEが地球に届いておらず結局ロケットも打ちあがらず。(これでLEDが解決したかに見えた。この後GPSの棒を持ってウロウロする日が続くとは誰も予想していない。)

 

 

2月2日(日)7日目、11時集合。フレッドマイヤーで買い物して12時からロッジの黒グフKG5を撤収するつもりが、熊谷さんから提案で、もう一日観測してもよいとのこと。お言葉に甘えてもう一日CMOS立体観測に挑戦することに。ポーカーに到着。サーモンをゲットして満面の笑みの砂川。以降、サーモン砂川。アクリルドームの汚れとり作業でクラクラになる匂いを拡散。大量データコピー中に、10連スカイタワーの挙動がおかしいことに気づく。16時20分ピーター登場。明日か明後日のロケット後には午後1時にwatershedの撤収しに行きたい、と相談。キャシーかトニーかジェイソンに頼むことになるとのこと。ウインク後、宮原、橋本を連れてwatershedへ向かうピーター。ドーム汚れ取り中のUSB3接触事故でハウルPCが使えなくなり、まさかの再リカバリー(物理メモリ追加、桜時計、余計なアプリの削除はまだ。windowsアップデートは解除。)衝撃波の残骸みたいのが地球に到達したらしい。これでは磁気嵐にならないが、イレギュラーになるのでロケットは飛ばすかもしれない、と思った。宮原がWi-Fiをゲットしにポーカーとロッジを往復。念のためロッジに電話。ポーカーの電話で9番を押して、3ケタ、4ケタを押すと市内につながる。早朝の自動ボーナス運転で「いわゆる砂川データ」の取得に成功。それにしても橋本さん、言葉をニアミスしていて誤変換がすごい。チャタルカ、ウォーターガルチ、ポーカーロッジ。ピーターをポーカー。どうやら横文字が苦手らしい。

 

2月3日(月)、8日目、11時集合でウォルマート経由でロッジの黒グフの回収。午後はポーカーに移設。ケビンにGPS回路を改造してもらう。付け替えて運転していたらLEDが止まった。我々のLEDも点いたり消えたりの不安が続く。午後5時半、砂川・橋本がピーターとポーカーに戻ってきた。糸屋さん、木工で銀レッツの台を作る。バイソンのリブステーキを楽しみに行ってみたらパンプハウスが休み。ガソリン$50を入れ、ホテルで食事。宮原は空港へ。残りはポーカーでロケット発射を待つ。帰り道1時55分、大きな火球。2時を過ぎても本当にウォルマートやってた。とても寒い。

 

2月4日(火)、最終日、10時半集合。晴れ。ダウンタウンで土産。ポーカーに向かう。昼は各自非常食。ジェイソンが安全運転でウォーターシェッドへ片岡と砂川を運んでくれた。10分くらいでVLF撤収作業が完了。ムースを見るのも当たり前になった。イーストドームそうじ。持ち帰りデータのコピー。橋本さんと糸屋さんが段ボールでグリッド制作。砂川&橋本がVLF梱包。ドーム外からグリッドを映して補正映像。ロケットチームの小笠原くんに観測機紹介。ハッピーターンをあげた。ケビンがシグナルジェネレータでLEDを光らすことに成功。ケビンにMVPを持ってかれかける糸屋さん。ロッジに向かってHDぶら下げる。タートルクラブで58ドルの蟹を食う、いわゆるサーモン砂川。「反省はしてるけど後悔はしてません!」という名言を残す。夜のウォルマート土産探索待ちで片岡が気絶。鼻毛が凍る程度の寒さ。11時15分に空港に向かう。初めてのチェックインでテンパって、担当の糸屋PCをフェアバンクス空港に置き去りにしかける「いわゆるサーモン砂川」。シアトル経由で全員無事に成田に帰国したのが2月6日の夕方。

 

3Dオーロラ上映のプレスリリースまとめ

2013年12月23日 22:06

3Dオーロラ上映がプレスリリースされ、とても反響が大きかったので、一度まとめておきます。

この写真は、こちらの新聞記事で使われた、当日の上映風景です。場所はシンラドーム、右下でマイクを持っているのが私です。12月21日(土)にオーロラ講演会があることは、こちらの新聞記事で2日前に紹介されていました。科学技術館によるプレスリリース本文はこちらです。J-WAVEでも取り上げられたとか(*未確認)

 

経緯を記録しておきます。12月21日(土)は、今年で4年目となる全国オーロラ講演会の一環として、また科学ライブショー「ユニバース」でクリスマス恒例のオーロラ特別番組として、最先端のオーロラ映像の上映と、最先端のオーロラ研究の話を、前から予定していました。ゲストは細川さん(電通大・准教授)なのでライブショーが面白いことは確実でした。これに合わせて最高の3Dオーロラ映像を投影できるよう、大量のドームマスターを座標変換するなど地道に準備を進めていたのですが、今回新たに出来上がった3Dオーロラが驚異の映像になっていると、シンラドームの現場で見て確信したのが12月14日(土)でした。これまでも数年間、3Dオーロラの試写は実験的にやってきましたが、今回の映像は従来のものと比べて、解像度が1.5倍ほど良くなり、立体感は数倍に、再生時間は桁違いに長くなりました。さらに、磁気嵐のシーンなので、写っているオーロラの色や種類の豊富さも、これまでとは桁違いで、まさに「完成版」となりました。科学ライブショー「ユニバース」の代表である亀谷さんが事態をすぐに把握し、公式のプレスリリースに踏み切ることになりました。今回は、かなり多くの関係者に無理を言って助けて頂きました。特にオリハルコンの上田さん、ありがとうございました。科学技術館のみなさま、極地研広報のみなさま、ありがとうございました。

 

さらに、これは別件ですが、篠原ともえさんと12月16日(月)にオーロラのミラクルについて対談させて頂けるという機会がたまたま重なり、シンラドームで特別に3Dオーロラ完成版の試写を見て頂くことになりました。下の写真は、そのときの篠原ともえさんツイートです。現場ではオーロラ映像かなり喜んで頂けました。

 

そんな急展開が続く中、3Dオーロラ完成版の公開当日の21日、直前の混乱を避けるため、という科学技術館のとっさの判断で整理券が配られました。(先着制と思ってシンラドームに並びに来たら既に整理券がなくなっていて、、と逆に困っていた方も多かったようでしたが、どうもそのようにする他なかった感じでした。)オーロラ講演会の本番は、無事に大盛況に終わりました。特別ゲストに八重樫さんも登場、ユニバース終了後は、メガスターで有名な大平さんが駆けつけ、3Dオーロラ完成版を見て楽しんで頂けました。たった一日の公開だったということで、今後の上映予定について、後日たくさんの問い合わせを受けることになりました。そして、この問い合わせのおかげで、多くの方々に3Dオーロラ完成版を見て頂けるように各方面で様々な動きが加速しつつあります。また報告します。3Dオーロラの今後の展開を、お楽しみに!

極端宇宙天気研究会まとめ

2013年10月05日 13:43

これまで年に一度のペースで開催してきた「極端宇宙天気研究会」も第3回となりまして、その様子をまとめておきます。京都大学の宇治キャンパスで9月30日と10月1日に開催、37名(学生11名)の参加でした。そして次回以降のことは、名古屋大学の塩田さんと桂華さんにおまかせしました。新風に期待します!

 

 

【専門家向けの短いまとめ】

・第3回の発表資料はこちら。その他の研究会資料はこちら

・極端宇宙天気特集号への論文投稿はこちら

・キャリントンイベントの英語論文集はこちら

 

研究会で一番多かった発表は観測史上最大のキャリントンイベント(磁気嵐の規模は推定値でDst指数-850nT、ピーク値だと-1600nT)に関するものでした。単純に「数百年に一度のイベント」としてよいかな?(McCrackenがアイスコアで500年に一度級だと推定している?)1989年3月13日のハイドロケベック社の停電イベントが、観測の充実した1958年以降では最大の磁気嵐で、その規模はDst指数で-589nT、これは統計的に計算して60年に一度のイベント、というのが正確であることは私も確認したことがある。そういう感じで、さしあたりキャリントンの10倍を、人類が想定しておくべき未知の「数千年に一度」のイベントだとして、そのときの太陽風スピードや磁場の限界、そこから磁気嵐の限界をまとめてみます。

 

フレアで言うと、10^33ergという数字があたりまえに出ていました(たとえば前原さんの発表)。キャリントンフレアがX100程度のエネルギーらしい。この10倍のE=10^34ergが数千年に一度のフレア。X1000と覚えやすい。そして、これがコロナ質量放出(CME)の運動エネルギーの上限値だろう。少し計算してみる。*さっそく脱線だが、星の回転が桁違いに速いと10^35ergも出ている。この場合、たぶん1-10億年という年齢の太陽の磁場がどれくらい強いか気になる。

 

面倒な計算に入る前に、単位だけ整理する。SI単位系で計算する。1 erg = 10^-7 J 

あと太陽の人はガウスガウス言っているので参考までに 1 gauss = 10^-4 tesla 

フレアが3桁強くなるとCMEが2桁重くなる、という経験則から考えて10^14 kgを採用する。

このCMEはどれくらいのスピードになるか?

2E/m = 2x10^27 / 10^14 = 20 x 10^12

これの平方根がスピードだから、4.5 x 10^6 m/s = 4500 km/sになる。

 

密度は10^14 kgが0.1AU球に入ってるとして、

1AU = 1.5 x 10^11 mと陽子の質量1.67x10^-27 kgを使って、

V = 4x(0.1x1.5x10^11)^3 = 14x10^30 m^3

N=10^14 /(1.67 x 10^-27 x 14 x 10^30) = 10^14/2.4x10^4 = 0.4x10^10 m^-3 = 4000 /cc

距離の自乗で薄まるから、地球では40/cc。

 

最後に、CMEのガス圧を1000万度で計算しておく。P=N kp T, kp=1.38x10^-23

P=0.4x10^10 x1.38x10^-23 x 10^7 = 0.55 x 10^-6 Pa = 550 nPa

これとCMEの磁気エネルギーが同程度だろう。

2mu0x550x10^-9 = 8x3.14x10^-7x550x10^-9 = 1.4 x 10^-12

これの平方根が磁場だから、1.2x10^-6 tesla

距離の1.5乗で薄まると、地球では400 nT。

断熱で距離の1.3乗で冷えると、0.5x10^6 K。

 

これで磁気圏シミュレーションに使える太陽風パラメタがそろった。

つまり、V=4500 km/s、N=40 /cc、B=120 nT、T=0.5MK。

Burton経験則から、Dst指数で1時間に

4.5x4500x120x10^-3= 2.4 x10^3 nTほど発達する。

この発達の速さはツルタニ2003論文の図を連想するし、

たった1時間でVasiliunasの磁気嵐上限値になる。

継続時間は、幅0.1AUサイズが4500km/sで通過したことを考えると、

t=0.1x1.5x10^8/4500/3600 = 0.9 時間となるのも整合的。

 

だいたいこんな程度ではないでしょうか。専門家からのコメントを歓迎します。

オーロラ立体視の論文プレスリリースまとめ

2013年09月14日 23:50

オーロラ立体視の論文がヨーロッパ地球物理学会EGUからプレスリリースされまして国際的に広く紹介して頂きました。主要なリンクを以下にまとめておきます。

 

・日本向けの公式プレスリリースがこちらです。

http://www.nipr.ac.jp/info/notice/20130906.html

http://www.soken.ac.jp/news_all/3147.html

国内では日刊工業新聞に紹介して頂きました。

オーロラの3D映像を使いたい方は片岡まで直接問い合わせてください。

 

・EGUの公式プレスリリースがこちらです。論文やオーロラ映像もこちらからダウンロードできます。

http://www.egu.eu/news/71/using-digital-slrs-to-measure-the-height-of-northern-lights/

http://geolog.egu.eu/2013/09/09/imaggeo-on-mondays-capturing-the-aurora/

 

・Charles Choiさんからメールが届き、Yahoo.comに素晴らしい記事を書いて頂きました。

http://news.yahoo.com/stunning-auroras-photographed-3d-everyday-cameras-184904477.html

 

・英語以外でも紹介して頂きました。

ドイツ語 http://www.sueddeutsche.de/Z5X38C/1521826/Nordlicht-in-3D.html

ポーランド語 http://tvnmeteo.tvn24.pl/informacje-pogoda/ciekawostki,49/zorza-polarna-w-3d-takie-zdjecie-moze-zrobic-kazdy,98585,1,0.html

ロシア語 http://ria.ru/science/20130906/961328514.html

 

・・・そして今は驚くべき展開になっていますが、詳しくは今後のお楽しみということで!

オーロラ3Dプロジェクトまとめ

2013年08月04日 14:38

オーロラ3Dプロジェクト初の科学論文の出版が決まったことを受けまして、また私の東工大時代が6月一杯で終わったことも重なり、ここでいったんオーロラ3Dプロジェクトについて文章で整理しておきます。この4年間に何が起きていたのか自分が前後関係など思い出すための記録を兼ねています。熱がこもって長文です。

 

1.はじまり

オーロラ3Dプロジェクトは2009年7月に私が理研を離れ、8月から東工大に着任してから作ってきたプロジェクトです。きっかけは理研時代のボス戎崎さんの「オーロラも立体撮影してドーム投影できるかなあ?」という一言でした。たぶん自明ではないし面白そうだからやってみようと思い立ちまして、ニコンのデジタル一眼レフD90を2台購入し、三脚や魚眼レンズも買いそろえ、一眼レフカメラを触るのも初めてという恐るべき状態からスタートしました。東工大の屋上で寺澤研の大学院生の小尾くんと永田さんに手伝ってもらって夕暮れの雲を撮影してみたり、宮本さんと九十九里浜へ行って流星を撮影したりと、本業の研究の合間に気晴らしとして何度か実験を繰り返していました。カメラのパソコン制御はしてなかったので、暑い夏の東工大構内を走り回り20年ぶりとかの階段ダッシュで微調整を繰り返したり、科学技術館の屋上カメラが電池切れになったり、九十九里浜では寒すぎるし雨が降ってくる、という感じで多くのトラブルをひととおり経験しました。全天周映像作りとドーム投影については、理研時代の同僚で、シンラドームを作られた高幣さんと一緒に度々夜な夜なシンラドームに閉じこもり、新しく撮ってきた映像を使って実験を繰り返していました。そしていよいよその冬、2010年1月にアラスカ大学のポーカーフラット実験場で、東北大の坂野井さんと最先端研究として取り組み始めたオーロラの高速撮像実験を無事に終えた最終日、名古屋大学の三好さん、東北大学の八重樫さんと一緒に世界初の全天周立体オーロラの撮影に成功しました。どう撮影してみたかというと、もう単純に気合です。片方のカメラは自動でシャッターを切るようにレリーズを設定してポーカーに置き去りにし、もう片方のカメラを持ってトラックで数十分、真っ暗な雪山を走って、三好さんに時計を読んでもらいながら手動で15秒おきにシャッターを切る、という作業でマイナス30度の夜に1時間くらい粘りました。寒くて眠くて、それくらいが限界でした。そして早朝の帰り道でパンクするというトラブルも経験できました。こういうのはマジ大変だわということで、のちのちロボットを作ることになるわけで。。

 

2.プロジェクト始動

2010年も春めいてきたころ、世界初の立体オーロラ映像を、星の位置合わせなどを手動で作業しながら喜んでいると、秋の実験段階で申請していた放送文化基金の助成金を頂けるという電話がかかってきました。たまたま映画アバターの3D元年だったという強運です。これが公式の「オーロラ3Dプロジェクト」のはじまりです。設立メンバーは、片岡、三好さん、高幣さん。2010年3月から、2年間援助して頂きました。東北大学の後輩でウェブデザイナーとして独立していたオノリナに久しぶりに連絡をとり、ツイッターやユーチューブをうまく利用したウェブサイトを作りたいという希望を伝えて打ち合わせを繰り返し、2010年6月にaurora3d.jpを開設しました。ローラちゃんや、太陽風などのイラストでウェブサイトを完璧に飾ってくれたイラストレーターの川添むつみさんとも、このときからの付き合いになります。オーロラ3Dプロジェクトの基盤がこうして出来ました。そして科学技術館の科学ライブショー「ユニバース」の案内役として、オーロラ3Dプロジェクトで作っていく実験段階の最新ドーム映像を、定期的にライブショーを通して親子向けに見せていく、ということが始まりました。ぶっきらぼうな私を案内役に誘ってくれたのは、当時のユニバースの指揮をとっていた半田さんです。半田さんはいま鹿児島大学の教授になられて、「ヤマト」で有名になっている、ときの人です。そしてユニバースの設立者が理研ボスの戎崎さんという強力なコネクションがありました。科学技術館のスタッフ、特に松浦さんと藤繁さんには何度も何度も無茶を言ってご迷惑かけました。極めつけは、子供を相手にやりあう案内役だというのに、ぼそぼそと何を発言しているかわからない最悪の案内役としての私に、テンションを100倍くらいは上げるようきっちり注意してくれた大学生アシスタント軍団ちもんずとの付き合いも、ここがスタートとなりました。

 

マスコットのローラちゃん

 

3.プロジェクト運用

2010年暮れからの本格始動の撮影第1弾では、まずパソコン遠隔操作を導入し、現地スタッフのドンとブライアン、そしてなぜかJAXA浅村さんの助けも借りてオーロラ撮影専用ロボット「ピーアイ2」を作り、などなど詳しい開発記録がaurora3d.jpに残っています。Nikonから特別にカメラ機材提供をして頂きまして、この第1段ではD3sを2台使わせて頂きました。(そして最後はシャッター切りすぎて2台とも壊して返却するという・・・。Nikonの皆様、本当にすいませんでした。)2010年の12月には全国一斉にオーロラ関連科学のサイエンスカフェをやるという「全国オーロラ講演会」という大きなアウトリーチ企画を実行しました。全国たくさんの研究者が協力してくれました。このとき東北大学で大きなサイエンスカフェを中心になって企画してくれた藤原さんは、いまは成蹊大学の教授です。もちろん拠点はシンラドームですが、プラネタリウムで見られる美しいオーロラ映像を、かなりたくさん(合計で1000人くらい)の方に楽しんでもらえたと思っています。そして2011年の春の学会で研究者へも活動を宣伝しようと、aurora3d.jpを大幅リニューアルしました。このときから、太陽風オーロラ予報シミュレーションを導入するため、理研の塩田さんにオーロラ3Dプロジェクトに参入して頂きました。いま塩田さんは名古屋大学に異動されて、この予報シミュレーションはスサノオ計画という新計画に進化しつつあります。2011年のクリスマス前後に企画した「オーロラ講演会2011」では、高幣さんの新作ドーム投影ソフト・アマテラスプレイヤーを全国各地で使ってオーロラをあらゆる形で見せていく、という壮大な投影実験になりました。特に、震災ボランティアで活動されていた「ななわ」に協力し、陸前高田でオーロラ上映したことが強く印象に残っています。銀座のギャラリーART FOR THOUGHTの山際さんと出会い、天井をオーロラにする特殊な投影実験も楽しい思い出です。2011年暮れからの撮影第2弾で一番強く印象に残っているのは2011年10月末のNHK「宇宙の渚」アラスカロケです。ディレクターの石井さん、カメラマンの小迫さんのおかげで新種のオーロラを発見しました(論文1)。その後オーロラ3Dプロジェクトを現地で支えて頂いたアラスカ大学の中井さんと出会ったのもこのときでした。中井さんはいま名古屋大学に異動されています。この第2弾ではNikonからD3xを2台、提供して頂きました。また、2012年の1月には私のツイッター「日本でオーロラ」発言炎上、など記憶に新しい事件が度々ありました。2012年春には、情通機構の坂口さんがaurora3d.jp姉妹サイトを作りオーロラ予報を始め、安達さんデザインの「オーロラカレンダー」も完成しました。オーロラカレンダーの写真は、いまはオーロラ写真家となられた八重樫さんが撮影。私は2012年6月にユニバースの案内役を卒業し、2012年11月からはウェザーニューズの番組に何度か出演させて頂きました。東京デザイナーズウィークの巨大ドームでは谷崎テトラさんに音楽をmixして頂いたドーム映像作品Northern Lights2010-2012を発表しました。

 

4.プロジェクト仕上げ

2012年暮れの撮影第3弾では、Nikonから提供して頂いたD4を2台導入し、伝説の魚眼レンズを一台はNikonから、もう一台は名古屋大学の塩川さんからお借りして、東大(今はムサビ)の宮原、名古屋の重松さん、東大の久保さんほかと、設置作業に同行して頂きました。いま南極にいる福田さんにも準備を手伝ってもらいました。そして、東工大の奥富先生、田中さん、東大の山下さんという工学部の魚眼ステレオ測定の専門家のアドバイスも受けて、満を持しての撮影実験となりました。東大の山下さんは私が出会ったときは静岡大の所属で、その学生の森さんがオーロラ全天周映像のための星の位置合わせを自動化するプログラムを作ってくれました(論文2)。これで立体ドーム映像が各段に作りやすくなったのと、投影が一段と美しいものになりました。そして、オーロラロッジの熊谷さんの協力で、ポーカーフラット実験場とは8km離れた地点に「ピーアイ2」を設置させて頂き、とうとう1シーズンの連続撮影に成功しました。この第3弾で得られた映像は、シンラドームに立体投影して観察すると驚くべき美しさで、オーロラの高度分布がかなり正確に出せるだろうという確信を得ることができました。そうそう、ヘッドマウントディスプレイで赤祖父先生にも見て頂き、アドバイスをもらいました。そして実際に高度分布を求めてみたものが今回の論文の研究成果になります。たとえば背の高いオーロラは高度120kmから400kmまで幅広く分布しており、脈動オーロラは90-100kmという一段低い高度で発光しているという結果が出てきます。なんとデジカメを使った新しい高度推定手法が生み出されたのです(論文3)。いまは名古屋大学の大学院生の重松さんが、横軸に時間、縦軸に発光高度をとって、この4年間、階層的な時間スケール(日単位、月単位、年単位)でオーロラの高さがどう変化するか調べて修士論文を書いています。オーロラ3Dプロジェクトのはじまりから考えてみると、とてつもない進化です。と、ここまで書いてみて気付きましたが、まる4年が経ったオーロラ3Dプロジェクトは私の東工大オーロラ生活そのものでした。このように多くの人に助けられてきたおかげで本当に大成功だったと思います。昨日の極地研究所一般公開では、こういうのはとても久しぶりな感じがしたのですが、大人から子供まで数百人の方々に気軽に立体メガネで立体オーロラを見て頂きました。楽しかった。進化した新プロジェクトを近々始動させる予定です。お楽しみに!

 

赤祖父先生オーロラ講演まとめ

2013年05月30日 19:08

名古屋大学の太陽地球環境研究所で開催された赤祖父先生の特別セミナーに参加しました。まさかのシーラカンスのスライドを使ったジョークから始まりまして「いまから私が言うことが正しいとは限りません。サブストームとはどういうものか問題提起として役立ててほしい。」という趣旨で一貫した1時間半のトークでした。もちろんオーロラの常識を変えたサブストームの発見者で、シーラカンスを倒せるほど人気があるレジェンドが語るわけですから、部屋は満員御礼です。そのときのメモをまとめて文章にしておこうかと。物理的な話の詳細について知りたい専門の方々は、赤祖父先生が既にAnn Geo論文を出版されていますので、そちらを参照してください。

 

いきなり細かいことから書きますが、恥ずかしながら私はまず、オーロラのブレイクアップについて誤解していたことを認識しました。なんと写真のオーロラ、朝方に見られるバラバラのオーロラがブレイクアップなのでした。いまのオーロラの研究者たちは、オンセットとか爆発相の激しいオーロラをテキトーにブレイクアップと言ったりしているので、そこを正して頂きました。地球規模に静かに暗く広がるオーロラの輪の状態から、オーロラの爆発的なエネルギー解放が真夜中付近から急激に起こり、そしてほとぼりが冷めるとバラバラになったオーロラが明け方に流れていく、という一連の流れ「=共通点のようなもの」が、赤祖父先生の50年前の研究によって、オーロラのサブストームと名付けられました。

 

これがオーロラのブレイクアップ。

 

さて、オーロラの爆発的なエネルギー解放に至る直前には、地球の磁気バリア「磁気圏」にエネルギーが一時的に貯まっていく段階「成長相」があります。なぜそんな成長相なんてものがあるのか?というのが問題提起その1でした。回答としては、太陽風から入力される電磁エネルギーは通常、磁気圏と電離圏をつなぐ電気回路を介して電離圏のジュール熱となって解消されているが、電離圏の電気伝導度が低い状態ではジュール熱として解消できるエネルギーに限界が出て、磁気圏側のプラズマ圧としてエネルギーが貯まってしまうと考える。そして「10の22乗erg」ほどのエネルギーが磁気圏に貯まると突然で無理やりのエネルギー解放が始まるが、いったん爆発が始まれば電離圏の電気伝導度が非常に高い状態がオーロラ粒子によって維持され、スムーズに電離圏が加熱されることでエネルギー解放が出来ている。このジュール加熱として電離圏に捨てられるエネルギー量は、どうも磁気圏の尾部に蓄えられたエネルギー10^21ergよりも一桁大きい。これは尾部リコネクションがサブストームのエネルギー源だと思っている場合に深刻な問題である。

 

続いて問題提起その2は「爆発相」について。なぜ1時間程度で爆発的に開放されて終わるのか。これの回答としては、電離圏で捨てる限界の毎秒3x10^18 ergで、貯まった10^22ergを使い切るためだと考える。そもそも10^22ergというのが何で制限された値なのか、という疑問が参加者の中でも自然発生して、あとで関連する質問も出ました。電流シートのプラズマ不安定でMHDが壊れるのが、10^22erg程度のときらしいという回答だった。もっと簡単に10^22ergを出せそうに思って、私もその場で計算してみた。静止軌道の100nTの磁場を基準に磁気圧を計算し、静止軌道を包む球の体積を掛け算すれば10^22ergのオーダーになる。静止軌道に磁束管があったとして、その磁束管にプラズマを思いっきり貯めこんだとすると、その限界は磁束管の磁気圧だろう。上限値なわけで、磁場の弱い星や強い星で検証できるかもしれない。そんな研究してみようと思っています。

 

続いて問題提起その3は「発電機」について。磁気圏にエネルギーが貯まるというだけではサブストームの説明として不十分で、電気回路の電池に対応する仕組みがわからないことには肝心なことを説明したことになっていないようである。ここはLuiの最近のクラスター観測論文を引用し、MHDが壊れて動径方向に電荷分離することが電場生成の発電機となるため、電離圏のジェット電流のセンスも含めて総合的に納得が行くと考える。客席からは、それは違うのではないかと意見が出た。このほか、太陽風の磁場が北向きになるとサブストームがトリガーされること、爆発するとオーロラが極方向へ拡大すること、などについても問題提起がなされた。議論の時間がいくらあっても足りない熱を持ったままセミナーが終了。

 

セミナーが終わり場所を移動して、赤祖父先生に3Dオーロラの出来立てほやほやの試作品をヘッドマウントディスプレイで見て頂きました。研究所の方々にもひととおり見て頂きましたが、桁違いに長い時間3Dオーロラを観察されていたのは赤祖父先生でした。さすがです。現地アラスカでもカメラの設置状況など詳しく報告していたので、完成した迫力映像をたっぷり見て頂いて、「おめでとう!」と言って頂きました^^かっこいい論文に仕上げられるようがんばります。

宇宙ステーションの緊急船外活動

2013年05月12日 01:18

文面を書いている今まさに二人の宇宙飛行士が宇宙遊泳中で3時間半が経過しました。日本時間5月11日21時44分から6時間半ということで始まった宇宙遊泳の生中継について短く記録しておきたいと思います。冷却システムの冷却材として使われているアンモニアが漏れていることがわかったので緊急対策として船外活動により古い冷却システムを入れ替えてフル復活させる、という経緯です。JAXAの説明によると「これにより、軌道上のクルーの健康状態・安全に影響はありません。なお、この給電系統が停止しても、直ちにISS/「きぼう」の運用・利用に影響はありません」とのこと。

http://iss.jaxa.jp/topics/2013/05/130510_iss.html

アンモニアが漏れていた記録映像はこちら。桜のはなびらのよう。

http://www.youtube.com/watch?v=DQREC9-zkY0&feature=youtu.be

まず地上サポートと宇宙飛行士のやりとりの一部始終を生中継で一般市民にこうしてネット公開してくれるNASAのおおらかさに驚きました(NASA TVでググるとわかります)。船外活動の中継が始まると真っ暗な宇宙。映像を見ていると、暗闇の中をライトで宇宙ステーションを照らしながら特殊なドライバーでモジュールを外したり写真を撮ったり作業しているのですが、そういえば宇宙ステーションは地球を90分ほどで一周するので、すぐに陽が射してきます。本当に秒速8kmという弾丸の数十倍のスピードで地球をぐるぐる回っているのだなあ、という基本的なことから実感できて、まるで自分が作業に参加してるような気分になるほどリアルに感じまして、どうも神経すり減る作業の連続で、見ていて本当に疲れました。ときおり船長が宇宙ステーションからツイッターを打ってくれるのですが、こんな大変なときでも船内で割と余裕あるんだということにも驚きました。ちなみに宇宙天気としては全般的に静穏で、大きな黒点が出て来ましたが東の端なので大丈夫という状況です。

そして気がつけば宇宙ステーションは再び夜中へ。だいたい地球1周のころになると事態がわかってきまして、地上と慎重に連絡をとりながらせっかく冷却システムを外して歯医者さんの使うようなミラーまで出して観察してみても結局アンモニアの漏れ出しも痕跡も視認できず、スペアの新品モジュールに入れ替えて船内に戻るという作業に移りました。外したモジュールは重量100kgですが無重力なので軽々と扱っているように見えました。宇宙服の中の酸素が薄いということで喋る声が辛いように聞こえます。手袋を何度もチェックするのですが破損があると命取りになるようです。

しかしよくこんな作業を緊急で出来るもんだと怖がって調べてみると実はこんなこともあろうかと宇宙に行く前にこうしてばっちり訓練していたようです。素人目にはかなり大変に見える冷却システムの入れ替え作業も無事終わりまして、あとはヒューストンの制御室からスイッチを入れて動かしてみて漏れがないか目視して船内に戻るだけ。トムとクリス(Chris CassidyとTom Marshburn)は今回で4度目の宇宙遊泳で、なんとトムは明後日には地上に戻るようです。そして明後日トムと一緒に地球に帰るChris Hadfield船長が無重力でおしぼりを絞る有名な映像がこちら。

http://edition.cnn.com/video/?/video/tech/2013/04/19/sot-hadfield-iss-washcloth-experiment.csa-nasa#/video/tech/2013/04/19/sot-hadfield-iss-washcloth-experiment.csa-nasa

最後にもうひとつ、クリス船長による宇宙で泣いてはいけない理由はこちら。トムとクリス船長はツイッターもやっていますので宇宙ファンの方にフォローをお勧めします!

http://www.youtube.com/watch?v=4BbuOn--ERI

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